こんにちは。都筑区の放課後等デイサービスFORTUNAです。
ソーシャルスキルの中の社会情動的スキルを育むことが大切なのはご理解頂けたと思います。
さて、具体例について考える前に、ソーシャルスキルとは「他者と効果的に空間を共有すること」、あるいは「様々な状況において他者に効果的に適応すること」と考えることができるということについて考えましょう。
ソーシャルスキルは、大まかにいって①ソーシャルシンキング②対人行動反応③情動反応の解釈という3つの部分から成り立っています。
①ソーシャルシンキング
まず、一般的な話として私たちはある状況とそこにいる他者を少なからず観察しながら、それと同時に自分自身や他者の考え、情動、動機、意図、信念体系、事前の知識や経験を考慮してその場面で何が起きているかを解釈や理解する能力が必要になってきます。
対人関係上の必要から、私たちはこれらの情報を用いて、自分自身のソーシャルスキルをどう活用するか自然と計画を立てていきます。またテレビや映画、小説などにおいても登場人物の対人的やりとりを解釈するのにこれらの情報を自然に利用しているのです。これらはソーシャルシンキングと呼ばれています。
困り事がある子どもたちの中には、このソーシャルシンキングが難しい子がいます。先日も電車の中を大声を上げて走る小学生の子どもをお母さんが止めさせようと追いかけている場面をみましたが、子ども本人が電車内で他者がどのように過ごしているのかをよくわかっていない。理解できるような練習をしていないのかな?と考えて見ていました。
②対人行動反応
これは、私たちが他者と空間を共有しているときに、ソーシャルシンキングによる計画を実行する過程です。このとき、私たちは他者に対して望む、あるいは期待する反応や応答をしてもらえるように、自分の対人行動を効果的に適応させる努力をします。所謂、空気を読むということです。その時に向社会的に関わろうとしたり、逆に対人的関わりを妨げようとしたりします。また、相手の行動が気に入らなかったり、あるいは容認できない場合は、相手に知らせようと行動しますし、自分の立場や言葉を擁護したり、他者に異議を唱えるときにも対人行動を利用しています。
対人行動とは、空間を共有している他者によって解釈されることが可能な(言語的、非言語的を問わず)あらゆる行動を指しています。
③情動反応の解釈
ソーシャルスキルを示すことは対人的関わりの過程のゴールではありません。効果的な空間共有の目標は、自分に対して相手が抱く感情に、こちらが期待したとおりの影響を与えることです。私たちの対人行動を他者がどのように解釈するかは、直接的にも間接的にも、その行動に対するその他者自身の対人的な情動反応の原因となります。他者がどう感じるかは、こちらが自分をどう感じるかにも影響します。自分の対人行動に対する他者の情動行動に気がついていれば、その場においての自分の対人的な目標を達成出来ているかどうかの評価ができます。
もし、目標が達成出来ていないと考えられる場合は、ソーシャルシンキングのアプローチの仕方をやり直し、それによって別のアプローチに取り組むことができるのです。
おおまかに言って3つの段階を簡単に説明しました。対人的な関わりをスムーズに進める能力には、実は多くの認知機能が複雑に絡み合って同時にスムーズに相互作用することが必要なのです。困り事がある子どもの中には、認知機能能力が低い子どももいます。FORTUNAでは社会集団において自立を促すためにはソーシャルスキルのトレーニングを行う必要があると考えているのです。
そのため、他の事業所さんがSSTをどのように捉えて実践されているかわかりませんが、FORTUNAではSSTの療育において、基本的に個別ではなく、将来の社会的自立を見据え集団という枠組みでの考えのもと、この3つの基本事項を踏まえながら療育を実施し、認知機能の向上が子どもたちのソーシャルスキルの向上に繫がると考え、新しくCognitive Training(コグトレ)を小集団において行うことにし、ソーシャルな場において適切な行動が取れるように練習を繰り返しています。
その結果、1~2年で子どもたちが20~30分の間着席して療育プログラムに取り組むことができ、気持ちや行動の切り替えも最初よりも遙かにできるようになってきています。
次回は具体例をあげて考えてみることにしましょう。
<続く>
放課後等デイサービス FORTUNA